キャッシュフロー・クワドラントとは何か?

大きな資産を築きたい、好きな時に好きなことができる生活を送りたいと思ったときに多くの人がまず行うことは、自己啓発系の本を手にすることだろう。

その分野で有名な著名な本は何かと問われれば、様々な本のタイトルが浮かぶが、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』を挙げる人も少なくないはずだ。

『金持ち父さん貧乏父さん』。たしかに、著者も初めて読んだ時は感銘を受けた。しかし、どちらかといえば私はロバート・キヨサキ氏の第二弾である、『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』の方が深く印象に残っている。なぜか。それは、やはり書籍のキャッシュ・フロークワドラントという考え方に感銘を受けたからであろう。

キャッシュフロー・クワドラント。これは言い換えれば、お金を稼ぐため生き方にはどのようなものがあるかを簡潔にまとめた表であり、これから成功したいと考えている人たちに知っておいてもらいたい概念でもある。

この記事では、「キャッシュフロー・クワドラントとは何か」ということについて解説していこうと思う。この単語の意味を知りたく検索をかけた方、書籍を読んだが今一度おさらいしたい方には参考になるはずだ。

キャッシュフロー・クワドラントとは何か

キャッシュフロー・クワドラントを日本語に訳すと、キャッシュフローは「お金の流れ」の意であり、クワドラントとは「円を4等分したもの」となる。キャッシュフロー・クワドラントは以下の図で表される。

さて、中には図を見てもさっぱりという方もいるだろう。図には2本の線が十字に引かれ、4等分された空間にアルファベットが振ってあるだけだ。このアルファベットは何を意味するのか? その答えは以下の通りである。

EEmployeeエンプロイー従業員
SSelf Employeeセルフ エンプロイー自営業者
BBusiness Ownerビジネスオーナービジネスオーナー
IInvestorインベスター投資家

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』において、著者のロバート・キヨサキ氏は、「どんな人でも、お金を稼いでいる人であれば、この4つのタイプのどれかに属している」と述べている。この考えを簡潔に表したのが、このキャッシュフロー・クワドラントの図というわけだ。

経済的自由・時間的自由を得たいならキャッシュフロー・クワドラントの右側に行くしかない?

ロバート・キヨサキ氏は、キャッシュフロー・クワドラントの図に表される4タイプはそれぞれ価値観が異なっており、属するタイプによって、そもそも経済的自由・時間的自由が獲得できるか否かが決まっていると述べた。

では、具体的にどのタイプに属すればいいかという話になるが、その答えは2つある。B(Business Owner)とI(investor)。つまり、図の右側のクワドラントだ。経済的自由・時間的自由を獲得するためには図の右側に行くしかないのだ。左に属する人たちは、必ずある程度の不自由に拘束されることになる。

左側のクワドラントは自分自身で働く

もう少し詳しく説明しよう。たとえば、サラリーマンはEクワドラントだ。サラリーマンは、働いた分だけお金をもらう。非常にシンプルな稼ぎ方だ。しかしこの稼ぎ方では、稼げる額に限界がある。なぜなら自分の体は1つしかないし、使える時間も限られているからだ。

無論、長く働いていれば昇給もするし、職によっては周りに羨ましがられるような給料をもらっている従業員もいるが、いくら満足する月収を稼いだとしても自分の身体を動かし、時間を消費しなければ稼げないので、「好きな時に、好きなものにお金を使う」はできない。つまり経済的に自由になっても時間の束縛からは抜けられないのだ。

これは、自営業者(Sクワドラント)も同じだ。自営業者の場合、自営がうまくいっていれば一般的なサラリーマンでは稼げない額を稼げるだろうし、時間の融通も利くが、自分が働かなければ事業は萎んでいくので、やはり時間の束縛からは抜けられない。

右側のクワドラントは自分以外を働かせる

では、図の右側の人たちはどうだろう。

たとえばビジネスオーナー。「ビジネスオーナーってそもそも何?」って思った方はバーのオーナーを思い浮かべるとわかりやすい。

バーのオーナーは自分が信頼できる部下を店長にしてお店を任せ、そのお店の売り上げの何割かをもらう。もちろんオーナーとして多少の管理は行うだろうが、基本的には優秀な店長がお店を運営してくれるので、何もしなくてもお金が入ってくる。

たとえ店長から売り上げの30%しかもらわなかったとしても、二号店、三号店とお店が増えれば、自分の下にいるどの店長よりも大きな額を、ほとんど何もしなくても稼ぐことができるようになる。言い方は悪いかもしれないが、お金を自動的に生み出してくれるシステムを複数抱えているような状態だ。

ビジネスオーナーは、このように、自力をほとんど使わなくても地頭的にお金を生み出してくれるシステムを保有する人間のことをいう。保有するシステムが増えると管理が大変になる、と思うかもしれないが、そうなったら自分とシステムとのあいだにマネージャー数人おけばいい。ここまでくればもう経済的にも時間的にも自由だ。

最後に投資家だが、投資家の稼ぎ方はお金の運用だ。お金を運用して利益を得る。投資家は株や不動産などの投資商品を買い、それを保有したり、あるいは売買したりしながら利益を上げていく。株式の配当、不動産の家賃収入などは、わかりやすい例だろう。

無論、多くの投資はある程度の資金がなければ始められないし、たとえ始めても技術がなければ資金を減らすだけだが、そういったリスクを背負う分、リターンも大きくなる。投資家はリスクを好んで背負い、大きなリターンを狙う人たちだ。リスク、というと聞こえは悪いが、優れた投資家たちはきちんとこのリスクをコントロールできているので、聞こえほどの危険性はない。

さて、ここで1つ質問しよう。今あなたはキャッシュフロー・クワドラントの図のどこに属しているだろうか。 そして、将来的にどこに属したいと思っているだろうか。

あなたがもし、今の生活に満足し、今のクワドラントに属することに満足しているなら、今の生活を維持すればいい。しかし、現状に満足していないのであれば、あなたは属するクワドラントを変えなければいけない。属するクワドラントを変えるにはどうするか。それは、自分が属したいクワドラントの価値観を知り、自分も同じ価値観を持つことだ。

上でも書いたが、価値観はあなたの日々の行動を変える。そして日々の行動の積み重ねが、あなたの未来を作る。属するクワドラントによって未来の形はおおよそ決まっている。未来を変えたいと思うのであれば、まず価値観を変えなければいけない。

具体的にそれぞれのタイプの人たちがどのような価値観を持ち、どのような行動をしているか

それでは、4つのクワドラントにどのような特徴があり、どのような価値観を持って行動しているかを見てみよう。

今のクワドラントから脱したいと思っている人は、各クワドラントの特徴を知った上で、目標とするのクラドラントの価値観を知る必要がある。

Eクワドラント-従業員

特徴

Eクワドラントに属する人たちは、安定志向で保守的。不確かなことや、リスクが伴うことを嫌い、そういった行動に否定的な立場を取りやすい傾向がある。

例を挙げるなら、契約社員から正社員に上がったりすることは賛成だが、転職はよっぽどのメリットが感じられなければ行わない。起業など論外。お金に関しては、貯金を好み、投資することを嫌う。

価値観

  • 「安定が一番」
  • 「お金がなくても幸せになれる」
  • 「堅実な労働をして稼いだお金は清く、楽して稼いだお金は汚い」
  • 「起業や投資に興味がないわけではないが、リスクがあるからやらない。安全ならやりたい

行動

  • 良い成績を取り、良い大学に行って、良い会社に入ることが理想形だと考え、それに基づく行動をとる
  • お金が余ったら貯金にまわす。投資ではなく貯金で老後資金を作ろうとする
  • 友人や同僚に嫌われないよう、中立的な立場をとる
  • 今よりも生活水準を高めたいという願望はあるが、リスクが伴うようであれば挑戦はしない
  • いろいろ考えるが、結果的にいつも現状維持という結論にいたる

補足

無論、上でリストした内容がすべてのEクワドラントに当てはまるわけではない。当てはまる部分もあれば、そうでない部分もある。だが、Eクワドラントには、上でリストしたような価値観を持ち、行動をしている人が多い。

もし、あなたがEクワドラントに属していながらも、上のリストにほとんど当てはまらないというのであれば、価値観は既に他のクワドラントだ。他のクワドラントに移行する努力をした方が、満足できる人生を送れるだろう。

Sクワドラント-自営業者

特徴

Sクワドラントに属する人たちは、人が作ったルールに縛られることを嫌う。好きなことをして仕事をしたいと考え、自分の考えに自信を持っている。

優秀な人が多いので、自己評価が高く、そのため自分でやるのが一番と考えてしまい、うまく他力を使えない。Sクワドラントより経済的に自由だが、以上の理由から、なかなか時間的な拘束から抜け出せない。

価値観

  • 「嫌な人間の命令を聞いてまで仕事する気はない」
  • 「一生サラリーマンで終わるなんて絶対に嫌だ」
  • 「働くのが好き。自ら動かず指示だけ出しているのは性に合わない」
  • 「自分より優れている人間はなかなかいない」

行動

  • 完璧主義
  • 自分で行うのが最も効率良く質も良いと考えているため、可能な限り自分でやってしまう
  • 部下を増やしたいが、自分が優秀であるため、ハードルを高く設定してしまいなかなか良い人材に巡り会えない

補足

上では混乱を防ぐため書かなかったが、SクワドラントのSには「Self Employee(自営業者)」のほかに「small business(スモールビジネス)」も含まれる。つまり、開業届け出をしていないし、会社にも勤めていないが、お金を稼いでいる人たちだ。たとえばネット転売したり、アフィリエイトをしたり、youtubeに動画を投稿したりしてお金を稼いでいるような人たちは、Sクワドラントに含まれる。

Sクワドラントは経済的自由・時間的自由を獲得できないのか?

結論から言えば、Sクワドラントはこれらの自由を獲得することはできる。Sクワドラントはミュージシャンや小説家なども含まれる。これらの仕事で大成を成した人たちは、莫大な印税収入を得て生活している。印税収入のような不労所得は自由の獲得には欠かせないものだ。それをたんまりもらっているのだから、世の中の多くの人よりよっぽど自由だろう。

しかし、そのようなミュージシャンや小説家になれる「可能性」を考えてみてほしい。あなたもし、そこそこ楽器を演奏できたり、面白い文章を書けたりしたとして、それが将来の経済的自由と時間的自由につながる可能性がどれだけあるだろうか。ほとんど皆無に等しいのではないかと思う。

どんなクワドラントにも例外はいる。Sクワドラントにも例外的に「自由」を獲得している人たちがいる。しかし、キャッシュフロー・クワドラントはそのような例外的な人たちを勘定に入れない。なぜならキャッシュフロー・クワドラントは、お金持ちになるための極めて現実的な考え方だからだ。

Bクワドラント-ビジネスオーナー

特徴

Bクワドラントに属する人たちは、基本的に、雇用において自営業者と逆の発想を持っている。自営業者が自分ですべての仕事をこなしてしまうのに対し、ビジネスオーナーは自分より優れた人間を集め、各分野のそれぞれの専門家に任せることで、より高いパフォーマンスを目指す。

仕事の安定・維持することよりも成長させることを好み、自力ではなく他力を利用することで自動的に利益を生み出すシステムを生産する。そのため部下の教育には余念がなく、多くの優れた人間を管理するため高いリーダーシップを求める傾向にある。

価値観

  • 「お金のために一生働き続けるなんて嫌だ」
  • 「お金は人生を良くするためのツール。それが目的になってはいけない」
  • 「お金を稼ぐために自分が働いていてはいつまでたっても自由になれない」
  • 「家族の時間、趣味の時間にお金や仕事、時間のことを考えたくない」

行動

  • がむしゃらに働くのではなく、賢く働く
  • お金を稼ぐために自分が働くのではなく、今持っているお金をどう使うか(働かせるか)を考え、実行する
  • いかに自力を使わず収入を生み出す他力システムを作るか考える
  • 将来、自分に利益をもたらすものに全力で投資する(部下の教育、システムの開発費)

お金を働かせるってどういうこと?

お金を働かせるとは、非常に抽象的な言葉だ。ビジネスの世界にはこの言葉を好んで使う人も多い。しかし、耳を傾けて聞いてみると、人によってニュアンスが異なっている。だからここでは、私が思うこの言葉の意味について話そう。

Eクワドラントの人たちは、基本的にもらったお金を消費するか貯金する。増やすために使うという発想はない。銀行金利がなくなった今、Eクワドラントの人のお金の使い方ではお金は増えない。だからずっと働き続けなければいけない。

一方、Bクワドラントの人たちは、お金を受け取ったら、もちろん消費や貯金もするが、残りのお金をどう使えばもっと増やせるかを考える。

たとえば、そのお金を使ってスタッフを雇い、自分の仕事の一部を任せたとしよう。そうすると、自分1人でやっていた時より収入は減るが、時間は増える。時間が増えれば、それを新しい価値の創造に使うことができる。それを事業拡大のために使えば、さらに収入が増える。そうやって自分の仕事を分配していけば、いずれ経済的自由・時間的自由を獲得することができるだろう。

私が思うに、お金を働かせるというのは消費以外の方法でお金を使うことだ。消費以外のお金の使い方というのは、多かれ少なかれお金を増やすことにつながる。そこで正しい使い方をすることができれば、お金を元に、お金を増やすことができる。問題は何にどれだけのお金を使うか、無論、その引き際を見極めるスキルなども、ビジネスオーナーには求められる。

Iクワドラント-投資家

特徴

投資家もビジネスオーナーと同様、経済的自由・時間的自由を獲得することができるクワドラントだ。

投資家とビジネスオーナーには共通点が多い。たとえば、お金を働かせて利益を上げていくことや、自力でなく他力で稼ぐことなどが共通する。これらが経済的自由・時間的自由の礎になることはいうまでもない。

だが、相違点もある。たとえば投資家は、ビジネスオーナーに比べ、より「投資」という言葉から連想されやすいものに投資する。株式を買って企業に投資してみたり、不動産を買って家賃収入を得たり、プライベートバンクを開設して高金利を得たり。こういった投資商品に投資をしていくのが投資家だ。

また、ビジネスオーナーはその性質上多くの人々と関わり合う必要があるが、投資家は誰とも関わらずとも成功することができる。基本的には人と情報交換をした方が有利に立ち回れるが、逆に混乱してしまうことも多い。世の中にはほとんど人と関わらず膨大なお金を稼いでいる投資家たちもいる。

価値観

  • 「投資は危険ではない。無知な人間が行う、コントロールのできない投資が危険なだけだ」
  • 「優れた投資家は資産を買うためにお金を使う。平凡な投資家や、投資家でない人々は負債を買うためにお金を使う」

行動

  • 基本的に負債は買わず、資産を積極的に買う
  • 基本的に投資をベースにものを考える。極端な例を言えば、「Aさんとの食事にお金や時間を投資することでどんなリターンが得られるか」ということを考える。

負債を買う、資産を買うってどういうこと?

負債とは持っているとお金がなくなっていくもののことであり、資産とは保持しているとお金が入ってくるもののことを言う。

たとえば、持ち家は投資家に言わせれば負債である。購入した時点から毎月膨大な額がローンとして口座からお金から引き落とされる。ローンを払い終えても、修繕費や固定資産税はかかり続ける。建物の魅力や機能は歳月と共に減退する。

誰でも最初は左側のクワドラントから

誰でも最初は左側のクワドラントに属し、お金を稼ぎ始める。中には右側からスタートする人もいるが、それはごく少数。例外的なケースだ。

Eクワドラントの人が他のクワドラントに行こうとした場合、まずはSクワドラントになる必要がある。いきなりEからBには飛べないということだ。ビジネスの経験のない従業員が、いきなりオーナーになることができるだろうか。

Iクワドラントは、SとBのクワドラントからは基本的に独立している。そのため、EクワドラントからいきなりIクワドラントにステップアップすることは別段不可能ではない。ただ、そういったステップアップを狙って投資を始めるのが現実的かといえば、答えはノーになる。よほど卓越したセンスがない限り、そのステップアップはできないからだ。

それに、投資にはおいしい案件とそうでない案件がある。おいしい案件は数多のおいしくない案件の中に埋没し、時には、平凡な投資家が絶対に見つけられないところに隔離されている

では誰がそれを見つけることができるかというと、お金と価値ある人脈を持った権力者たちだ。お金のある人間の元にはお金になる話が次々舞い込んでくる。やっぱり世の中は金とコネなのだ。

確率的に考えるなら、Eクワドラントから脱したいと思っている人たちはE⇒S⇒Bと順当にステップアップしていくのが理想的だ。そしてBにたどり着いた時にIになりたいとまだ考えているなら、その時は挑戦してみるといいだろう。

一番早いのはメンターを見つけること

あなたが今のクワドラントから脱し別のクワドラントに移りたいと思ったなら、一番手っ取り早いのは、自分が行きたいクワドラントにいる人をメンターにしてしまうことだ。

世の中には、あなたが将来的になりたいと思っている人物像に近い人が必ずいる。そんな人を見つけ出し、その人が発信している情報にただ何となく触れてみる。最初は触れるだけでいい。それだけでも、あなたの考え方や価値観は少しずつ変わってくることだろう。

当サイト「Grand Report」では、ビジネスを行う上でなぜメンターが必要なのか、良いメンターはどうやって探せばいいのかということを以下の記事で解説している。興味がある方は参考にしてほしい。

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